大脳前頭葉の機能:行動や注意の制御について解説

今回は記事では大脳の前頭葉機能の役割についてまとめています。

高次脳機能障害や小児分野に対する理学療法士としての関わり方や

リハビリテーションのヒントになるかもしれません。

一緒に理解を深めましょう!

この記事で分かること

  • 大脳の前頭葉の機能は「行動の制御」と「注意の制御」に分けられる
  • 行動や遂行機能の制御とはその環境においての適応であると言われている
  • 注意の制御とは現時点での刺激や行動事象に対しての適応であると言われている
  • これらの障害は遂行動作に対する上下限の振れ幅が異常に狭くなること

なんのことやらさっぱりだよ?

そんな方は続きも読んでいってください!

大脳 前頭葉の機能は「行動」と「注意」の制御

大脳の前頭葉という領域では、他の脳領域の機能を統合して制御する領域とされています。

「制御」とはその環境に対して適した行動をとったり、注意をはらったりすることです。

つまり、大脳前頭葉の機能とは、「行動の制御」と「注意の制御」であると言われています。

ヒトは大脳が発達し、この行動と注意の制御を行えることによって

さまざま環境に適応した行動をとれるよになりました。

この適応した行動をとる機能を「遂行機能」と言います。

この遂行機能にはいくつかのステップがあります。

動作遂行までのイメージ

例えば、「トイレに行きたい」と動機が生じたとき

「トイレまで歩いて行こう」と条件を設定します。

次に「トイレまで行く手順」をプランニングして

プラン通りに実行できるように大脳前頭葉で行動をプログラミングします。

最後に実行に移して「トイレに行きたい」という行動を達成する。

加えて、実行の過程のなかで

「転ばないように気をつける」「漏れないように気を張る」といった

環境や自身の状態に注意することも制御し遂行されています。

言葉にすると面倒な手順ですね。

先に説明した遂行機能ですが

ボクたちはほとんど無意識のうちに、これらの機能を制御しています。

この説明としては「ヒトの行動階層」で考えると分かりやすいと思います。

ヒトの行動階層:右に行くほど高次の制御が必要

この図のようにヒトの行動階層には反射的な行動~社会的行動までの階層に分けられます。

高い階層にいくほど、大脳前頭葉での高度な制御が求められるとされています。

さきほどの「トイレに行きたい」という例は

ヒトの行動階層でいうところの「日常」的な行動を言えるでしょう。

そして「トイレに行く」ための「歩くという行動」は反射的な行動のため

ほとんど無意識化での制御下で遂行できる内容と言えますね。

一方で「会社でプレゼンをする」「友人や恋人と出かける」といった他者の絡む

社会的行動はより複雑なプランニングと遂行プログラムを考える必要があるため

高度な制御が求められると言えるでしょう。

ここまでの内容をまとめると

  • 大脳前頭葉の機能は「行動」と「注意」の制御をすること
  • 「制御」とは周囲の環境や自身の状態に適した対応をとること
  • 遂行機能は「動機付け⇒条件設定⇒プラン⇒プログラム⇒実行」のステップで説明される
  • ヒトの行動段階ではより高次の階層での行動にはより高度な制御が求められる

行動の制御障害と注意の制御障害

行動の制御の障害とは、行動や遂行機能の上下限の振れ幅が狭い状態

注意の制御の障害とは、現時点や将来的に起きている事象に対して制御できない状態

こんな表現での解釈ができるかと思います。

これだけ読むとさっぱり分かりませんね。

順に説明します。

「行動の制御の障害」とは

例えば、「歩く」という行動で考えてみましょう。

「いつも通りの速度で歩く」条件では遂行できても

「めちゃくちゃ速く歩く」「転ばないギリギリの速度でゆっくり歩く」といった

「最大限の実行」と「最小限の実行」の条件では遂行が難しくなる。

このような状態を行動の制御が障害されていると言われます。

つまり、「歩く」という行動のなかで

速度や環境などの条件の振れ幅が極端に狭くなることと説明できます。

歩行速度の条件下で制限の障害があるとき対応の幅が狭くなるイメージ

言語機能の障害は言語障害として説明されますが

多弁や寡黙といった状態は言語機能の運用の変調

つまり、言葉数の振れ幅が最大限か最小限に偏って制御されている状態という説明になります。

言葉数の条件下で制御が障害されているイメージ

このように、行動や遂行機能の上下限の振れ幅が極端に狭く

対応できる環境が少ない状態を「行動の制御の障害」と解釈できるでしょう。

「注意の制御の障害」とは

現在や将来的に起き(てい)る事象に対して対応することが難しい状態です。

まず、注意の制御とは現時点での刺激や行動事象の制御と理解することが重要です。

例えば、歩いているとき足元がデコボコしているから気をつけようとか

正面から人が来たから避けようとか

現時点で自身がおかれている状況や環境に注意を向けることが

注意の制御ということになります。

そして、この注意の制御が障害されるといことは

デコボコ道歩いてるな、足を捻挫するかもしれないな

正面から人が来たな、避けないとぶつかるな

といった注意が向けられないため

実際に転んでしまったり、衝突してしまったり

現時点から将来的に起こる事象の予測と対応が困難になってしまう状態となります。

逆に、注意の制御が正常で遂行機能が障害されている場合は

現時点で慣れていることは実行可能だが、新しい行動を覚えることが難しい

といった状態になります。

まとめ

  • 大脳の前頭葉の機能は「行動の制御」と「注意の制御」に分けられる
  • 行動や遂行機能の制御とはその環境においての適応であると言われている
  • 注意の制御とは現時点での刺激や行動事象に対しての適応であると言われている
  • これらの障害は遂行動作に対する上下限の振れ幅が異常に狭くなること

できるだけ噛み砕いて解説したつもりですが

まだまだ言語化することが難しいですね。

日々勉強、これからも一緒に理解を深めていきましょう!

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