【PTが知っておきたい運動学シリーズ】正常歩行の特徴を3分で確認できるように解説

今回は正常歩行の特徴について、運動学の視点から解説します。

臨床場面で必ずと言っていいほどに関わる「歩行」の基礎知識を

3分で読んで、確認できるようにまとめました。

もちろん、誰が読んでもわかるようにまとめたので

正常歩行の獲得にむけて日々頑張っていらっしゃる方にも読んでいただければ幸いです。

それでは一緒に理解を深めていきましょう!

この記事を読んで分かること

  • 運動学的な『歩行』の概念
  • 正常歩行の特徴、速度、重心移動
  • 正常歩行を行うときにおこる関節運動や筋活動

運動学的な視点での『歩行』とは

運動学的な視点での歩行とは

重力に抗って立位姿勢を保持しながら、全身を移動させる複雑な動作

と定義されています。

歩行を完成させる主な要素として

  • 下肢の支持力
  • モーメント
  • 慣性力

以上の3つの要素が巧みに作用して動的バランス(動いているときのバランス)を保ちます。

このバランス機能を保つためには、随意的要素反射的要素が加わります。

例えば、お茶を取りに台所へ向かおうとしたとき

意思を持って動き始めますが、歩き方はいちいち考えたりしませんよね?

環境に合わせて無意識のうちにバランスを保って歩きますよね?

このように、歩行動作とひとくちに言っても複雑な機能が

お互いに作用しあって成り立っていることがイメージできるかと思います。

正常歩行の特徴

歩行周期

立脚相:歩行周期の60%の時間を占める

  • 踵接地(Heel contact)
  • 足底接地(Foot flat)
  • 立脚中期(Mid-stance)
  • 踵離地(Heel off)
  • 爪先離地(toe off)

遊脚相:歩行周期の40%を占める

  • 加速期(Acceleration)
  • 遊脚中期(Mid-swing)
  • 減速期(Deceleration)

Rancho Los Amigos の分類

  • 着床初期(initial contact)
  • 荷重反応期 (loading responce)
  • 立脚中期 (mid-stance)
  • 立脚終期 (terminal stance)
  • 遊脚前期 (pre-swing)
  • 遊脚初期 (initial swing)
  • 遊脚中期 (mid-swing)
  • 遊脚終期 (terminal swing)

※この2つの歩行周期を混ぜて説明しないようにしましょう。

※自分が説明しやすい方を用いて同業者と話すと情報共有がスムースになると思います。

歩行率の平均:(男性)110steps/min.(女性)116steps/min.

歩行速度の平均:(男性)4.8km/h (女性)4.5km/h

歩幅の平均:(男性)74.2㎝ (女性)63.5㎝

重心移動

上下移動の平均:(正常歩行)4.8㎝±1.1㎝ (速い歩行)6.0㎝±1.3㎝

左右移動の平均:(正常歩行)5.8㎝±2.0㎝ (速い歩行)5.0㎝±2.1㎝

体幹上下部の回旋の特徴

  • 体幹上部と下部は逆回旋
  • 骨盤の回旋は約8°、立脚側4°遊脚側4°
  • 骨盤-大腿骨の回旋は約8°
  • 大腿骨-脛骨の回旋は約9°
  • 体節の回旋は片方約25°となる

下肢関節角度の変化 ※参考値

  • 股関節:1回の歩行周期で1回の屈伸が起こる。屈曲40°伸展10°の幅で関節運動が起こる
  • 膝関節:1回の歩行周期で2回の屈伸が起こる。屈曲70°伸展0~5°の幅で関節運動が起こる
  • 足関節:1回の歩行周期で2回の底背屈が起こる。背屈10°伸展20°の幅で関節運動が起こる

上肢の運動

腕の振りは前方20°、後方9°の幅が一般的とされる

後方へ振るときは肩伸展筋(主に広背筋上部、大円筋、三角筋後部)と肩外転筋(三角筋中部)が働く

前方へ振るときは筋活動はみられない

まとめ

今回は正常歩行の運動学的な特徴をまとめてみました。

注意点としては、この特徴はあくまで一般的にいわれいるものであり

すべての人に当てはまるものではないということです。

骨格や筋量、バランスのとりかた、生活習慣などなど

全く同じ人がいないように歩行の特徴もさまざまです。

目の前の患者様やリハビリ対象者の方がなぜ歩行困難になっているのか

その原因解明のヒントになれば幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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